Japanese
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特集 腫瘍と糖鎖――糖鎖の基礎研究から腫瘍の分子標的同定に向けて
腫瘍とコンドロイチン硫酸
Chondroitin sulfate is associated with hallmarks of cancer
灘中 里美
1
,
北川 裕之
1
Satomi NADANAKA
1
,
Hiroshi KITAGAWA
1
1神戸薬科大学生化学研究室
キーワード:
コンドロイチン硫酸(CS)
,
プロテオグリカン
,
浸潤能
,
増殖能
Keyword:
コンドロイチン硫酸(CS)
,
プロテオグリカン
,
浸潤能
,
増殖能
pp.893-896
発行日 2022年5月28日
Published Date 2022/5/28
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28109893
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細胞表面には糖鎖が森のように生い茂り,細胞の “顔” を形づくっている.細胞は,その状態に合わせて装いを変え,たとえば健康な細胞からがん細胞へ変化すると,細胞表面の異常な糖鎖が出現し “がん細胞の顔” になる.かねてから,がんに関連して発現する異常な糖鎖構造が腫瘍マーカーとして診断に利用されてきた.近年,糖鎖のバイオマーカーとしての重要性はますます高まっているが,糖鎖は細胞ががん化した結果を反映するだけでなく,糖鎖そのものが細胞の性質を変化させる.つまり,糖鎖ががん細胞の特性を制御する細胞内シグナル伝達に関与する可能性が示されている.本稿では,糖鎖のなかでもコンドロイチン硫酸に焦点を当て,このユニークな糖鎖ががん細胞の増殖能や浸潤能を制御する仕組みの一部を紹介する.
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