Japanese
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特集 腫瘍と糖鎖――糖鎖の基礎研究から腫瘍の分子標的同定に向けて
がんにおけるルイス糖鎖の生物学的機能
Biological function of Lewis glycans in cancer
福岡 智哉
1,2
,
森脇 健太
3
,
三善 英知
1
Tomoya FUKUOKA
1,2
,
Kenta MORIWAKI
3
,
Eiji MIYOSHI
1
1大阪大学大学院医学系研究科生体病態情報科学講座
2同小児科学講座
3東邦大学医学部生化学講座
キーワード:
ルイス糖鎖
,
生物学的機能
,
抗がん薬耐性
,
TRAIL誘導性細胞死
Keyword:
ルイス糖鎖
,
生物学的機能
,
抗がん薬耐性
,
TRAIL誘導性細胞死
pp.888-892
発行日 2022年5月28日
Published Date 2022/5/28
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28109888
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フコシル化(フコースによる糖鎖修飾)は,がんや炎症に関連が深い糖鎖修飾である.ルイス(Lewis)糖鎖はN-アセチルグルコサミン,ガラクトース,フコース,シアル酸からなるフコシル化糖鎖であり,糖タンパク質や糖脂質に付加され,さまざまな分子の機能を制御する.さまざまながん種において,ルイス糖鎖の発現が亢進することが知られており,ルイス糖鎖の1種であるsialyl Lewis AはCA19-9という腫瘍マーカーとして広く使用されている.さらに近年では,がん細胞の生存や増殖能の亢進,上皮間葉転換(EMT)の誘導,転移の促進,抗がん薬耐性の獲得など,腫瘍の性質におけるルイス糖鎖の生物学的機能が明らかとなってきている.また最近,筆者らは腫瘍免疫監視機構の一翼を担うアポトーシス誘導分子であるTRAIL(tumor necrosis factor-related apoptosis-inducing ligand)によるがん細胞の細胞死をルイス糖鎖が制御することを明らかとした.本稿では,筆者らのこの新しい知見とともに,がんとルイス糖鎖の関係について概説する.
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