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特集 腫瘍と糖鎖――糖鎖の基礎研究から腫瘍の分子標的同定に向けて
がんや前がん病変におけるヘパラン硫酸およびケラタン硫酸の機能
Function of heparan sulfate and keratan sulfate in cancer and precancerous lesions
大川 祐樹
1
Yuki OHKAWA
1
1大阪国際がんセンター研究所糖鎖オンコロジー部
キーワード:
ヘパラン硫酸
,
ケラタン硫酸
,
がん
Keyword:
ヘパラン硫酸
,
ケラタン硫酸
,
がん
pp.897-901
発行日 2022年5月28日
Published Date 2022/5/28
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28109897
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タンパク質の糖鎖修飾は最も重要な翻訳後修飾のひとつであり,その修飾される糖鎖の構造は厳密に制御されている.しかし,がんのような病態下においては時折,糖鎖の異常な高発現や異常な構造が見受けられる.それらはがん関連糖鎖として知られ,その発現はがんの悪性形質の増強に働くことが多い.多種多様な糖鎖のなかで,ヘパラン硫酸およびケラタン硫酸のようなグリコサミノグリカンについても,近年,そのがん関連糖鎖としての機能が明らかになってきた.特にヘパラン硫酸においては,糖鎖に増殖因子が特異的に相互作用することで,細胞シグナルの補助因子として働くことが明らかになり,そのことががん細胞の増殖能の亢進や治療抵抗性の増強に寄与することがわかっている.本稿では,がんや前がん病変におけるヘパラン硫酸およびケラタン硫酸の発現や機能について,その一端を紹介したい.
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