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コンドロイチン硫酸の皮膚科領域に於ける応用
佐野 栄春
1
,
堀金 登世
1
,
宮沢 勳
1
,
黒田 政重
1
1神戸医科大学皮膚科泌尿器科教室
pp.979-983
発行日 1955年11月1日
Published Date 1955/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201539
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近時結合織間の基礎物質として酸性ムコ多糖類が注目され,この面から組織の透過性,炎症の進展さらにアレルギー反応にみられるFibrinoidや所謂膠原病の本態が検討されている。しかし臨床的には既に酵素ヒアルロニダーゼが各方面に用いられているに反し,その基質のムコ多糖類の応用については顧りみられることが少なかつた。所が1936年Crandallがたまたまコンドロイチン硫酸(以下「コ」と略記)が偏頭痛に対し卓効のある事を報告して以来,漸次適応範囲も広がり神経痛(大島等),関節リウマチ(Peterman, Hodas等)夜尿症(小林)に用い効果が認められている。コと近縁関係にあるヘパリンについては瘢痕組織障害の緩解(Beiglboech)関節リウマチ(Glazebrook& Wrigley等)天疱瘡(Magner等)に用い有効な成績が報告されている。しかし未だ皮膚科方面に於ては使用例に乏しい様に思われるので,我々は今般「コ」(科研セレブリン)を各腫皮膚疾患に用いた成績を報告したいと思う。
「コ」はコンドロザミンとグルクロン酸からなる多糖類でMeyerによると施光度,アルコールによる沈澱度,ヒアルロニダーゼによる分解の差によりA,B,Cの三種に分たれるが,その作用機転は体内で分解されたグルクロン酸の解毒抗過敏作用,硫黄代謝の整調等が唱えられ,既に大島等の詳細な研究があるが,我々も本剤の2,3皮膚反応に及ぼす影響を調べたので附加したい。
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