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第5土曜特集 腫瘍免疫――免疫ネットワークから考える基礎と臨床
ネットワークの各因子と,その因子を応用or標的とした基礎研究の現在と可能性
【がん免疫ネットワークに影響を与える因子】
腫瘍微小環境の “3低” の改善による腫瘍免疫の向上
Promoting sustained anti-tumor immunity by improving “Triple Low” of tumor microenvironment
西田 充香子
1
,
鵜殿 平一郎
1
Mikako NISHIDA
1
,
Heiichiro UDONO
1
1岡山大学学術研究院医歯薬学域免疫学分野
キーワード:
腫瘍微小環境
,
代謝競合
,
血管正常化
,
レドックス
,
ミトコンドリア
Keyword:
腫瘍微小環境
,
代謝競合
,
血管正常化
,
レドックス
,
ミトコンドリア
pp.408-414
発行日 2022年4月30日
Published Date 2022/4/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28105408
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腫瘍微小環境は低栄養,低酸素,低pHといった特殊な環境を構築しており,このような免疫療法に対する代謝障壁を打ち崩すことが腫瘍微小環境下で免疫賦活機構を駆動させるためには重要である.したがって,いかにして腫瘍微小環境全体を改変するか,また過酷な環境下でエフェクター細胞の機能を維持するにはどのようにすればよいのか,その方法を考える必要がある.それらの問題を解決するためには腫瘍血管の正常化,腫瘍とT細胞の代謝競合の改善,さらにはT細胞のミトコンドリア機能と抗酸化能力の向上が不可欠であると考えられる.これまでの筆者らの研究から,腫瘍浸潤CD8 T細胞より分泌されるIFN-γによって腫瘍細胞の代謝が制御されることがわかってきており,腫瘍細胞と腫瘍微小環境を構築する細胞間で代謝制御を相互的に行っていることも明確になってきた.これまでは個々の細胞の代謝制御に目を向けていたが,今後は腫瘍微小環境全体に視野を広げて代謝研究を進めていく必要があるといえる.
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