Japanese
English
第1土曜特集 発展する脳卒中診療の最前線
脳卒中病態解明の進歩
Atrial cardiopathyと脳卒中
Atrial cardiopathy and stroke
加藤 裕司
1
,
髙橋 愼一
1
Yuji KATO
1
,
Shinichi TAKAHASHI
1
1埼玉医科大学国際医療センター脳神経内科・脳卒中内科
キーワード:
ESUS(embolic stroke of undetermined source)
,
PTFV1(P wave terminal force in lead V1)
,
血清NT-proBNP
,
左房サイズ
,
心房細動(AF)
Keyword:
ESUS(embolic stroke of undetermined source)
,
PTFV1(P wave terminal force in lead V1)
,
血清NT-proBNP
,
左房サイズ
,
心房細動(AF)
pp.1049-1053
発行日 2022年3月5日
Published Date 2022/3/5
DOI https://doi.org/10.32118/ayu280101049
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近年,病態生理学の進歩により心房細動(AF)がなくとも,左房のリモデリングや線維化,内皮細胞や心筋細胞の障害といった左房の変性により血栓形成が惹起され塞栓症の原因になりうることが示唆されるようになった.この病態は,atrial cardiopathyとよばれ,その本質は左房の構造的かつ機能的異常とされる.Atrial cardiopathyはAFの新規発症リスクであるとともに,AFを有する患者の塞栓症リスクを高める.Atrial cardiopathyの概念の真価は,脳卒中予防のため治療介入の端緒となることと思われる.Atrial cardiopathyの診断には多くのバイオマーカーの可能性が示唆されてきたが,現在のところ,PTFV1,血清NT-proBNP,左房サイズが有力視されている.Atrial cardiopathyは,spectrum disorderであり,各種バイオマーカーの閾値や組み合わせの設定によりその対象範囲は拡大・縮小されうる.ARCADIA試験を通じてatrial cardiopathyの診断の妥当性,直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)の新たな治療対象となりうるか,検証が待たれる.
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