Japanese
English
第5土曜特集 現代の臨床研究のための統計学2022――洗練された研究デザインと統計解析を理解してみよう
観察研究の方法
観察分析疫学におけるバイアス
Bias in observational analytic epidemiology
鈴木 貞夫
1
Sadao SUZUKI
1
1名古屋市立大学大学院医学研究科公衆衛生学分野
キーワード:
比較妥当性
,
系統誤差
,
選択バイアス
,
情報バイアス
,
交絡
Keyword:
比較妥当性
,
系統誤差
,
選択バイアス
,
情報バイアス
,
交絡
pp.410-415
発行日 2022年1月29日
Published Date 2022/1/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28005410
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
バイアスという単語は,妥当性の反意語として広く使用されている.バイアスの概念が多岐にわたり混乱しがちなのは,反意語である妥当性の意味が状況で変化することに一因がある.バイアスを考えるときは,それが阻害する妥当性が具体的に何であるかを考える必要がある.本稿では,疫学研究のデザインのなかでも,観察分析疫学に話を絞って解説する.分析疫学は “記述疫学”,“予防” とともに,疫学の定義の3本柱のひとつであるが,関連因子や因果関係を担う分析疫学のなかでの妥当性は “比較妥当性” であり,これを損なうものが観察分析疫学におけるバイアスである.観察分析疫学から,偶然誤差(チャンス)と系統誤差(バイアス)が排除されれば,得られた結果は真実である.観察分析疫学のバイアスは,選択バイアス,情報バイアス,交絡に分けられる.これらが原因(要因,曝露)と結果(アウトカム,イベント発生)に同時に作用する場合にバイアスが生じる.本稿ではその説明と回避法について述べる.
Copyright © 2022 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.