Japanese
English
特集 ADHDの最近の知見――発症メカニズムと治療法
ADHDの概念
The concept of attention deficit hyperactivity disorder
小坂 浩隆
1
Hirotaka KOSAKA
1
1福井大学医学系部門病態制御医学講座精神医学
キーワード:
注意欠如・多動性障害(ADHD)の歴史
,
ADHDの疫学
,
ADHDの症状経過
,
神経多様性(neurodiversity)
Keyword:
注意欠如・多動性障害(ADHD)の歴史
,
ADHDの疫学
,
ADHDの症状経過
,
神経多様性(neurodiversity)
pp.129-133
発行日 2022年1月8日
Published Date 2022/1/8
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28002129
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カテゴリー化された注意欠如・多動性障害(ADHD)の診断基準のため,臨床家のなかでADHD像が確立したものになってきている.今回,改めてADHDの概念について考えてみた.①ADHD診断基準が確立するまで,不注意に焦点を合わせた時期,多動衝動性に焦点を合わせた時期,脳損傷がベースにあると考えられた時期を経て,破壊的行動障害グループから神経発達症グループの位置づけに変遷してきた歴史がある.②近年のシステマティックレビューでは,児童期ADHDの有病率は5%前後で,成人期は下がる.しかし成人期においては,持続性ADHD群では2.58%でも症候性ADHD群では6.76%という報告もみられる.③臨床症状は不注意,多動衝動性だけでなく,周辺症状や二次障害から日常生活や社会生活に支障をきたしていく.あらゆる経過をたどるパターンがあることも知っておかねばならない.④現在,神経多様性(neurodiversity)の概念で,各症状は人間が示す正常な行動のバリエーションの範囲内という考え方がある.受容的にADHD症状が受け入れられる社会になることを願いたい.
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