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第1土曜特集 小児・AYAがんの最前線
急性骨髄性白血病における分子基盤の最前線
Frontiers of molecular basis in acute myeloid leukemia
柴 徳生
1
Norio SHIBA
1
1横浜市立大学大学院医学研究科発生成育小児医療学
キーワード:
PRDM16
,
MECOM
,
FLT3-ITD
,
微小残存病変(MRD)
,
KMT2A融合遺伝子
Keyword:
PRDM16
,
MECOM
,
FLT3-ITD
,
微小残存病変(MRD)
,
KMT2A融合遺伝子
pp.41-49
発行日 2022年1月1日
Published Date 2022/1/1
DOI https://doi.org/10.32118/ayu2800141
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小児急性骨髄性白血病(AML)は,さまざまな遺伝子異常を背景に有するヘテロな疾患である.近年の遺伝子解析技術の飛躍的な進歩に伴い,小児AML症例の90%以上において発症の原因となる遺伝子の特定が可能である.小児AMLではRUNX1-RUNX1T1やKMT2A-MLLT3などの融合遺伝子が70%以上と高頻度に検出される一方,成人に多くみられるDNMT3AやTET2,IDH遺伝子変異はきわめて少なく,成人AMLとは細胞遺伝学的な特徴が異なることが明らかとなっている.今後,より高精度にリスク層別化を行い,適切な強度の治療を提供していくためには,簡便かつ安価,そして迅速にゲノム解析を行い,リアルタイムに患者に結果を還元する必要があり,費用面,人的な負担を考慮しながら体制を再構築していく必要がある.またAML領域においても,微小残存病変(MRD)の有無が治療成功の可否に重要な因子となっており,ゲノム異常と組み合わせて予後予測を行い,治療戦略を組み立てることが重要となっている.さらに,明らかとなったゲノム異常から新たな分子標的薬の開発・臨床応用が進んでおり,どのタイミングでどの薬剤と組み合わせるのが効果的なのかを模索していく必要がある.
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