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第1土曜特集 小児・AYAがんの最前線
乳児急性リンパ性白血病に対する治療の現状と展望
Current status and prospects of treatment for acute lymphoblastic leukemia in infants
宮村 能子
1
Takako MIYAMURA
1
1大阪大学大学院医学系研究科小児科学
キーワード:
乳児急性リンパ性白血病
,
KMT2A遺伝子
,
臨床試験
,
国際共同研究
Keyword:
乳児急性リンパ性白血病
,
KMT2A遺伝子
,
臨床試験
,
国際共同研究
pp.3-9
発行日 2022年1月1日
Published Date 2022/1/1
DOI https://doi.org/10.32118/ayu280013
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乳児急性リンパ性白血病(ALL)は,わが国において年間発生20~30例の希少疾患である.乳児ALLは予後不良とされるKMT2A遺伝子再構成(KMT2A-r)が70~80%で認められるなど独特の生物学的特性を有し,臨床経過や予後が1歳以上の小児ALLとは異なるため,これに特化した治療研究が国内外で精力的に行われてきた.しかし,乳児ALLとくにKMT2A-rALLでは長期無イベント生存率(EFS)は50%前後と不良である.さらに近年,乳児期の造血細胞移植を含む侵襲的な治療による重篤な晩期合併症も課題となっており,より適切な治療層別化が求められている.このような背景から乳児ALLの治療成績の向上と質の高い長期生存のためには,既存の治療の強化だけではなく,新規治療薬を導入する新規治療戦略の確立が必要で,さらにその希少性から,今後,国際共同研究で治療開発を行う必要があると考えられる.本稿では,乳児ALLの国内外での治療のあゆみと現状,さらに治療開発の現状と今後の展望について概説する.
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