Japanese
English
特集 肝硬変は治るか? 組織改築改善・研究の最前線
はじめに
-――No return pointを超えるためのTranslational Research & Reverse Translational Research
Introduction
――Translational research & reverse translational research to go beyond no return point
寺井 崇二
1
Shuji TERAI
1
1新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器内科学分野
pp.769-769
発行日 2021年11月20日
Published Date 2021/11/20
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27908769
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
肝臓は再生力が高い臓器のため,進行しても症状がでにくい “沈黙の臓器” といわれている.B型肝炎ウイルス,C型肝炎ウイルスの感染による慢性肝炎,あるいはアルコール肝炎,肥満症に伴う非アルコール性脂肪肝炎などが原因で肝硬変が進む.肝線維化進行による門脈圧亢進により側副血行路形成や腸管浮腫をきたし,静脈瘤形成やその破裂,腸内細菌などpathogen-associated molecular patterns(PAMPs)に影響を受けたり,便秘や解毒能の低下からくる脳症,近年ではportopulmonary hypertension(PoPH)にもつながることが解明されてくるなど,さまざまな影響をもたらし,悪循環をきたし “No return point” に入る.肝線維化進行に伴い末梢血管は拡張し,その結果,門脈圧亢進症症状がでてくる.ウイルス制御も可能になった今,われわれは今まで “No return point” を超えたとあきらめていた肝硬変症患者に対する次世代治療の開発,あるいは “No return point” に悪化させない新たな治療の開発を進めていかなければならない.
Copyright © 2021 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.