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第1土曜特集 宇宙生命科学の進歩と医学応用への展望
宇宙環境に関連した各研究対象と最新の知見
有人宇宙探査と人工冬眠
Manned space exploration and artificial hibernation
櫻井 武
1
Takeshi SAKURAI
1
1筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構
キーワード:
人工冬眠
,
有人宇宙探査
,
QIH
Keyword:
人工冬眠
,
有人宇宙探査
,
QIH
pp.589-595
発行日 2021年11月6日
Published Date 2021/11/6
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27906589
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“人工冬眠” という言葉から宇宙旅行を連想される方も多いと思う.宇宙船内で乗組員が眠ったまますごしているシーンは,SF映画などではすでにおなじみになっている.こうした場面における人工冬眠の意味は,生体活動をとめて老化の速度を著しく遅くして何光年も先の目的地までの長時間を要する宇宙旅行に対応するというためという暗黙の了解がされているのだと思う.しかし仮にヒトに冬眠を誘導できたとしても,実際に冬眠することによって老化過程を遅らせることができるのかは不明である.しかし,老化の進行抑制だけが冬眠状態がもたらすメリットではない.冬眠状態を作りだすことは有人宇宙探査にとって幾多の計り知れないアドバンテージをもたらすはずである.何光年も先の目的地を人類が目指すことができるようになるのはかなりの未来になるであろうが,現在,有人火星探査は近未来に実現が期待されている.火星までは半年ほどの旅程と考えられているが,ここでも人工冬眠の必要性が議論されている.本稿では宇宙旅行において人工冬眠がもたらすメリットや冬眠動物にみられる真の冬眠の特色を述べ,それをヒトに実装する方法の可能性を中心に述べる.
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