特集 アストロバイオロジーとの遭遇:生命のルーツを探る旅
火星生命探査の現状と将来計画
吉村 義隆
1
1玉川大学農学部 生命化学科 教授
キーワード:
生命探査
,
極限環境微生物
,
化学合成独立栄養生物
,
蛍光顕微鏡
,
メタン
Keyword:
生命探査
,
極限環境微生物
,
化学合成独立栄養生物
,
蛍光顕微鏡
,
メタン
pp.135-139
発行日 2016年1月22日
Published Date 2016/1/22
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火星における生命の存在は,1976年のアメリカ航空宇宙局(NASA)のバイキング計画着陸機による実験では確認できなかったが,その後の探査によって,数十億年前の火星は表層に大量の水があり,生命の誕生に適した環境であったと考えられるようになってきた.現在,NASAにより過去の生命の痕跡を探す計画が実行されており,有機物も発見されてきた.また,火星でのメタンの発見などから,地下にメタン生成菌などの無機物をエネルギー源とする化学合成独立栄養生物が存在する可能性も議論されている.一方,火星表面は多くの生物にとって過酷な環境であるが,極限環境に生息する地球の微生物にとっては生存限界の範囲内であり,液体の水が存在すると考えられる場所も見つかってきていることから,地下だけでなく表層においても生命を発見できる可能性が高まってきた.火星生命探査の現状と今後の探査計画を紹介する.
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