Japanese
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第1土曜特集 宇宙生命科学の進歩と医学応用への展望
総論
重力環境と生理機能
Gravitational environments and physiological functions
森田 啓之
1
Hironobu MORITA
1
1東海学院大学健康福祉学部管理栄養学科
キーワード:
微小重力
,
体液シフト
,
耳石前庭系
,
宇宙適応症候群
,
宇宙飛行関連神経眼症候群(SANS)
,
前庭-交感神経反射
Keyword:
微小重力
,
体液シフト
,
耳石前庭系
,
宇宙適応症候群
,
宇宙飛行関連神経眼症候群(SANS)
,
前庭-交感神経反射
pp.543-549
発行日 2021年11月6日
Published Date 2021/11/6
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27906543
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宇宙飛行・宇宙滞在に伴う医学的問題として,①宇宙酔い・平衡機能障害,②視覚障害,③骨・筋量減少,④帰還後の起立耐性低下,⑤宇宙放射線の影響,⑥閉鎖環境に伴う影響,などがある.このうち前4者は,地上と宇宙の重力環境の違い―地上の1gと宇宙の微小重力―が原因と考えられている.重力環境が変化することによる身体への影響として,重量(質量×重力)が変化するという物理的影響と,重力(直線加速度)の感知器官である耳石前庭系を介する影響がある.微小重力環境下では,身体構成要素の重量がなくなり,上方にシフトするとともに,耳石前庭系への入力が減少し,その機能が低下する.視覚障害,骨・筋量減少,起立耐性低下は主に物理的影響によるものと考えられてきたが,最近,後2者については耳石前庭系の関与も重要であることがわかってきた.しかし,微小重力環境下での生理機能変化,適応過程,病態解明のための宇宙実験の機会は限られており,地上で重力環境を変化させる方法や微小重力環境を模擬できる方法の活用が必要である.
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