特集 SASP:古くて新しい細胞老化随伴分泌現象
SASPを介したがん進展メカニズムへの遺伝学的アプローチ
吉本 将成
1
,
井垣 達吏
1京都大学 大学院生命科学研究科高次生命科学専攻修士課程
キーワード:
遺伝学的技法
,
細胞間コミュニケーション
,
腫瘍
,
ショウジョウバエ属
,
変異
,
ras Proteins
,
細胞老化
,
分子進化
,
細胞増殖
,
ミトコンドリア病
,
腫瘍悪性度
Keyword:
Cell Communication
,
Drosophila
,
Genetic Techniques
,
Mutation
,
Neoplasms
,
Cellular Senescence
,
ras Proteins
,
Evolution, Molecular
,
Mitochondrial Diseases
,
Cell Proliferation
,
Neoplasm Grading
pp.1135-1140
発行日 2015年11月22日
Published Date 2015/11/22
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SASPとは細胞老化を起こした細胞が炎症性サイトカインや増殖因子などの分泌性タンパク質を高発現する現象であり,その発がん促進作用が注目されつつある.筆者らは最近,細胞老化および SASPがショウジョウバエにおいても進化的に保存された普遍的な現象であることを見いだすとともに, SASPが細胞間コミュニケーションを介した腫瘍悪性化に寄与することを見いだし,その分子機構を遺伝学的に明らかにした.今後,細胞老化および SASPの生理的・病理的役割やその人為的制御ターゲットを明らかにしていくことで,個体発生や生体の恒常性維持,またがんをはじめとする様々な疾患を理解するための新たな戦略が見えてくると期待される.
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