Japanese
English
特集 医療スタッフが知っておきたい性的マイノリティと医療
性同一性障害/性別違和と保険適用
Gender identity disorder/gender dysphoria and insurance coverage
舛森 直哉
1
Naoya MASUMORI
1
1札幌医科大学医学部泌尿器科学講座
キーワード:
性同一性障害
,
健康保険
,
ホルモン療法
,
乳房切除術
,
性別適合手術
,
混合診療
Keyword:
性同一性障害
,
健康保険
,
ホルモン療法
,
乳房切除術
,
性別適合手術
,
混合診療
pp.264-267
発行日 2021年10月23日
Published Date 2021/10/23
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27904264
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
性同一性障害の診断に必要な診察・検査および精神科領域の治療には健康保険が適用される.身体的治療(ホルモン療法,乳房切除術,性別適合手術)はこれまで自費診療であったが,2018年4月より,一定の条件を満たせば乳房切除術と性別適合手術に健康保険の適用が可能となった.一方,ホルモン療法に対しては,性同一性障害に対する有効性と安全性の医学的エビデンスが欠如するとの理由でいまだに健康保険が適用されない.したがって,性同一性障害との同一病名でホルモン療法後に施行する手術,あるいは手術前にはホルモン療法未施行であるが術後にこれを開始する手術に対しては,混合診療禁止との原則から健康保険の適用とはならない.このように,乳房切除術と性別適合手術に対する保険適用が承認されたのにもかかわらず,その恩恵を受ける当事者はきわめて少数である.ホルモン療法に対する保険適用が承認,あるいはホルモン療法と手術の混合診療が許容されなければ,現場の混乱が継続することになる.
Copyright © 2021 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.