連載 ユニークな実験動物を用いた医学研究・Vol.10
ショウジョウバエから見出された非典型的ドパミン放出による学習強化モデル
齊藤 実
1
Minoru SAITOE
1
1東京都医学総合研究所学習記憶プロジェクト
キーワード:
ショウジョウバエ
,
ドパミン
,
オンデマンド放出
,
学習強化
,
一酸化炭素
Keyword:
ショウジョウバエ
,
ドパミン
,
オンデマンド放出
,
学習強化
,
一酸化炭素
pp.1110-1114
発行日 2021年12月11日
Published Date 2021/12/11
DOI https://doi.org/10.32118/ayu279111110
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Summary
ショウジョウバエは古くから遺伝学的モデル動物としてさまざまな研究で利用され,哺乳類モデルに先がけた原理が発見されてきた.神経科学においては哺乳類動物に比べて少ない数の神経細胞で構成される比較的簡便なショウジョウバエの脳神経回路と,解剖遺伝学的手法による特定の神経細胞・神経回路の生理学・生化学的操作を組み合わせることで,哺乳類モデルに先がけた神経回路の動作原理や新たな分子機能の発見が期待されている.筆者らはこうした特徴をいかすことで,従来のシナプス伝達の原理から逸脱したシナプス後細胞により誘導される非典型的なドパミン(DA)の放出機序(オンデマンド放出)を発見した.本稿ではこの非典型的なドパミン放出とは何か,これが連合学習にどのように関与しうるか,DAによる記憶回路の可塑的変化を対象に概説する.
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