特集 腸内細菌研究の最前線 ―社会実装へ向けて
2.腸内細菌と疾患(2)腸内細菌と大腸腫瘍
石川 秀樹
1
1京都府立医科大学分子標的予防医学
キーワード:
大腸腫瘍
,
腸内細菌
,
乳酸桿菌
Keyword:
大腸腫瘍
,
腸内細菌
,
乳酸桿菌
pp.1331-1337
発行日 2025年9月20日
Published Date 2025/9/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000003646
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腸内細菌による大腸発癌については,数多くの促進因子,抑制因子の関与が考えられ,それらのバランスが重要である.筆者は,大腸腫瘍発生をエンドポイントとした乳酸菌,食物繊維を投与した臨床試験を実施した.本試験において,大腸癌の前癌病変と考えられる中等度以上の異型を伴う腺腫の発生を乳酸菌製剤の投与により抑制することを見出した.現在,臨床試験参加者のうち,希望者に乳酸菌を長期投与する介入試験を実施中であるが,その参加者の解析により,乳酸菌長期服用者では体重減少が少ないことが判明した.上記試験のコホート解析で便中にEnterococcus属が多い者で大腸腫瘍の発生が少なかった.それ以外にも,家族性大腸腺腫症に対する腸内細菌叢の最近の研究も紹介した.

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