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第5土曜特集 生活習慣病の克服に向けたゲノム医療――ゲノム医科学の進展と精密医療の実現
各論
【循環器疾患】
脳梗塞のゲノム疫学研究
Genomic epidemiology of ischemic stroke
秦 淳
1
,
二宮 利治
1
Jun HATA
1
,
Toshiharu NINOMIYA
1
1九州大学大学院医学研究院衛生・公衆衛生学分野
キーワード:
脳梗塞
,
ゲノムワイド関連研究(GWAS)
,
患者対照研究
,
コホート研究
,
ポリジェニックリスクスコア
Keyword:
脳梗塞
,
ゲノムワイド関連研究(GWAS)
,
患者対照研究
,
コホート研究
,
ポリジェニックリスクスコア
pp.405-409
発行日 2021年7月31日
Published Date 2021/7/31
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27805405
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脳梗塞の遺伝要因については十分解明されているとはいえない.筆者らは,九州大学病院およびその関連施設から収集した脳梗塞患者群と,久山町研究の対象者から選出した対照群を用いたゲノムワイド関連研究(GWAS)を実施し,新規の脳梗塞関連遺伝子としてPRKCH遺伝子,APLNR遺伝子,ARHGEF10遺伝子を同定した.さらに,久山町のコホート研究により,各遺伝子の一塩基多型(SNP)が脳梗塞の発症リスクと有意に関連していることを明らかにした.近年のゲノム医科学の進歩により,DNAチップを用いて多数の遺伝子多型を網羅的に高速に解析することが可能となり,世界各国で脳梗塞の大規模なGWASが実施されるようになった.しかし,GWASで同定される個々のSNPの影響は大きくないため,疾病の遺伝要因の一部しか説明できていないといった問題(missing heritability)が指摘されている.そこで岩手医科大学では,網羅的な遺伝情報に基づく新しい脳梗塞の発症リスク予測法としてポリジェニックリスクスコアを開発し,国内の疫学研究,バイオバンクのサンプルを用いた患者対照研究および久山町のコホート研究により,そのスコアの外的妥当性を確認した.
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