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特集 脳卒中・循環器病対策基本法――今後の展開
はじめに
Introduction
小室 一成
1
Issei KOMURO
1
1東京大学大学院医学系研究科循環器内科学
pp.255-255
発行日 2021年7月24日
Published Date 2021/7/24
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27804255
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- Abstract 文献概要
わが国において死因のトップは約40年にわたってがんであるが,そのようなわが国においても,高齢者ではがんと循環器病(脳卒中と心血管病)で亡くなる人数はほぼ同じであり,後期高齢者になると循環器病で亡くなる人のほうががんよりも多い.わが国の総人口はすでに減少傾向にあるが,75歳以上の後期高齢者は今後40年ほど増え続けるので,わが国において循環器病の患者数,死亡者数がますます増加すると考えられる.わが国の平均寿命は今も伸び続けており世界でもトップクラスであるが,介護を要しない健康寿命と平均寿命の間には,男性で約9年,女性で12年の乖離がある.わが国の目標である健康長寿を達成するためにはこの乖離期間の短縮が重要であるが,乖離の原因のトップは循環器病である.さらに,わが国の国民医療費は年々増加し現在43兆円であるが,循環器病には約20%が使用されており,2位のがんの約1.5倍である.このように循環器病はわが国においても大変大きな問題であり,がんと並ぶ2大疾患であるといってもよいにもかかわらず,国民の認知度や学校教育,診療体制,登録制度,研究費など,循環器病はがんとは比較にならないほど劣っている.
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