Japanese
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TOPICS 臨床検査医学
「パニック値」をめぐる諸問題
Topics on a “panic value”
諏訪部 章
1
Akira SUWABE
1
1岩手医科大学医学部臨床検査医学講座
pp.165-166
発行日 2021年7月10日
Published Date 2021/7/10
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27802165
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「パニック値」とは
「パニック値(panic value)」とは,「生命が危ぶまれるほど危険な状態にあることを示唆する異常値で,ただちに治療を開始すれば救命しうるが,その診断は臨床的な診察だけでは困難で,検査によってのみ可能」と定義されている1).日本臨床検査医学会は,「臨床検査のガイドラインJSLM2018」2)のなかで表1のような「パニック値/緊急報告値」の一覧表を例示している.しかし,この表に示されている検査項目のなかには,緊急処置は要しないが重大な病気の存在を示唆する「極異常値(極端値)」も含まれているので,緊急性を要する「パニック値」との区別が必要になる.たとえば,「LDH 1,000U/L以上」は,血液系の悪性腫瘍の存在を示唆するので,緊急性はないが確実に主治医にその情報が伝達される必要がある.
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