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タウタンパク質が蓄積する疾患(タウオパチー)の病態は多彩である.タウタンパク質には,微小管結合部位繰返し配列のうちエクソン10が翻訳する2番目の部位が翻訳されない3リピートタウと翻訳される4リピートタウに大別されることに加え,N末端の違いにより6種類のアイソフォームが存在する.神経病理学的に蓄積するタウアイソフォームの種類により3リピートタウオパチー,4リピートタウオパチー,3+4リピートタウオパチーに大別される.最も頻度の高いのはアルツハイマー型認知症や原発性年齢関連タウオパチー(primary age related tauopathy:PART)などが含まれる3+4リピートタウオパチーであり,4リピートタウオパチーには進行性核上性麻痺(progressive supranuclea palsy:PSP)や大脳皮質基底核変性症(corticobasal degeneration:CBD),嗜銀顆粒性認知症,球状グリア性タウオパチー(globular glial tauopathy:GGT),3リピートタウオパチーには行動障害型前頭側頭型認知症(behavioral variant frontotemporal dementia:bvFTD;旧病名ピック病)が含まれる.これらの疾患においては,たとえばPSPにおけるtufted astrocyte,CBDのastrocytic plaqueなど,病理学的診断バイオマーカーは確立しているが,臨床症状がきわめて多様であるため,生前診断が困難であることも多い1).したがって,治療法開発研究を推進するためには生前に診断することを可能にするバイオマーカー開発が強く望まれる.その意味においても素因遺伝子解析研究には大きな意義がある.
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