連載 この病気,何でしょう? 知っておくべき感染症・Vol.11
旋毛虫症(食歴を尋ねよう)
鈴木 広道
1
Hiromichi SUZUKI
1
1筑波メディカルセンター病院臨床検査医学科・感染症内科
キーワード:
旋毛虫症
,
熊肉
,
トリヒナ
,
Trichinella spp.
Keyword:
旋毛虫症
,
熊肉
,
トリヒナ
,
Trichinella spp.
pp.1127-1131
発行日 2021年6月26日
Published Date 2021/6/26
DOI https://doi.org/10.32118/ayu277131127
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Summary
旋毛虫症は食中毒の一種で,感染した動物の肉を加熱不十分な状態で摂食し発症する.由来動物は100種類以上報告されており,世界的には豚肉などが原因となることが多く,年間1万人の患者がいると推定されている.発症直後に下痢などの消化器症状が出現する場合があるが,多くは摂食後1週間以上を経過してから,発熱,発疹,好酸球増多症や筋肉痛,顔面浮腫などの症状を呈する.診断に時間がかかり,複数の医療機関を受診されている患者も多い.近年,国内での集団感染事例が毎年報告されており,すべて加熱不十分な熊肉の摂食が原因となっている.旋毛虫症は,食歴の病歴聴取が最も重要な診断の鍵となる.
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