Medical Topics
鞭虫症
吉村 裕之
1
1千葉大学医学部寄生虫学
pp.50-51
発行日 1970年9月10日
Published Date 1970/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204753
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鞭虫の感染
アメリカの高名な寄生虫学者N. Stoll博士が1947年に"この虫だらけの世界"という論文を発表した。その中で全世界の鞭虫感染者は3億5,500万人(当時の世界人口を23億として)と推定したが,その多さに驚かされる。たしかに筆者の最近の調査によっても,農山村地域の学童を対象とした検便によりその感染率が20〜30%,時に60%に達することもあり,しかも後述するが,いろいろな病害を推察せしめる不快な症状をもつ学童は必ずしもすくなくない。
最近5年間における蛔虫,鉤虫,鞭虫の3種の寄生虫についての厚生省の調査成績では表1のごとくになっている。しかしこれに示された値は,平均的な感染状況を知る資料とはなるが,さきにのべた一定の農山村の実態はこれとは大きい隔りのあることを知る必要があろう。
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