連載 この病気,何でしょう? 知っておくべき感染症・Vol.7
救急医療現場における胃アニサキス症(食歴を尋ねよう)
古本 洋平
1
Yohei FURUMOTO
1
1東京都立墨東病院消化器内科・内視鏡センター
キーワード:
胃アニサキス症
,
急性腹症
,
上部消化管内視鏡検査
Keyword:
胃アニサキス症
,
急性腹症
,
上部消化管内視鏡検査
pp.557-561
発行日 2021年5月15日
Published Date 2021/5/15
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27707557
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Summary
胃アニサキス症はAnisakis亜科の線虫であるアニサキスによる寄生虫感染症であり,近年報告数が増加している.激しい上腹部痛,悪心,嘔吐により急激に発症することが多いため,急性腹症の鑑別診断のひとつとして重要である.魚介類を生食した数時間後に発症することが多いため,魚介類の生食歴の聴取が診断に有用である.またCT検査では胃の広範囲で粘膜下の浮腫状肥厚がみられるなど特徴的な所見を示し,診断の参考となる.上部消化管内視鏡検査にてアニサキス虫体を発見することで確定診断となり,内視鏡的に虫体を摘出することで症状の改善が期待できることから,病歴や検査所見から胃アニサキス症を疑った場合には内視鏡検査を行うことが望ましい.“胸痛により発症する場合” や “内視鏡検査にて複数のアニサキス虫体が発見される場合”,“胃潰瘍や粘膜下腫瘤様隆起を合併する場合” など非典型的な症状や内視鏡所見を示すこともあり,注意が必要である.
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