連載 この病気,何でしょう? 知っておくべき感染症・Vol.13
腸アニサキス症(腸閉塞を診たら食歴も尋ねよう)
中村(内山) ふくみ
1
Fukumi NAKAMURA-UCHIYAMA
1
1東京都立墨東病院感染症科
キーワード:
アニサキス
,
腸閉塞
,
食歴聴取
,
血清診断
Keyword:
アニサキス
,
腸閉塞
,
食歴聴取
,
血清診断
pp.235-238
発行日 2021年7月17日
Published Date 2021/7/17
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27803235
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Summary
小腸閉塞の多くは術後の腸管癒着が原因である.腹部手術歴がない場合にはアニサキス症を鑑別にあげ,感染源となる海産魚介類の食歴を聴取してほしい.アニサキスの小腸寄生は4~5%,大腸寄生は0.25%との報告がある.小腸アニサキス症の腹部造影CT所見(造影効果を伴う小腸の限局性粘膜下浮腫,同部位を閉塞起点とし口側の腸管拡張と液体貯留,腹水貯留)は特徴的である.発症すぐには末梢血好酸球増多がみられないことが多い.発症時と回復期のペア血清で抗アニサキス特異的IgG抗体価を測定し,その有意な上昇をもって診断する.保存的治療で自然軽快することが多いが,穿孔あるいは腹膜炎,出血,腸重積を合併し,開腹術が必要となる症例もあるため慎重な経過観察が必要である.
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