Japanese
English
TOPICS 血液内科学
炎症性微小環境から迫る骨髄異形成症候群の病態
The role of inflammatory microenvironment in the pathogenesis of MDS
武藤 朋也
1
Tomoya MUTO
1
1千葉大学医学部附属病院血液内科
pp.1121-1122
発行日 2021年6月26日
Published Date 2021/6/26
DOI https://doi.org/10.32118/ayu277131121
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 参考文献 Reference
骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes:MDS)は,無効造血による血球減少と急性骨髄性白血病への移行を特徴とした疾患であり,造血幹細胞および造血前駆細胞(造血幹前駆細胞)レベルにおける細胞遺伝学的異常や遺伝子変異が疾患発症や病態形成に関与していることが明らかになっている.MDS幹前駆細胞の機能活性は低下していると考えられており1),このMDS細胞の機能的特徴の機序において,炎症の影響がかねてから提唱されてきた.骨髄内のMDS細胞は炎症性微小環境下に存在していることが明らかになっていたとともに,炎症と造血幹前駆細胞機能低下の関係を示す報告も数多くあったためである2,3).しかしながら,このようなMDS細胞の機能的欠陥にもかかわらず,なぜMDS患者骨髄内でMDSクローンが正常造血に対し増殖優位性を獲得できているのか,その機序は不明であった.
Copyright © 2021 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.