今月の表紙 血液・リンパ系疾患の細胞形態シリーズ・17
骨髄異形成症候群
栗山 一考
1
,
朝長 万左男
2
Kazutaka KURIYAMA
1
,
Masao TOMONAGA
2
1長崎大学医学部附属原爆後障害医療研究施設分子医療部門分子治療研究分野
2長崎大学医学部附属原爆後障害医療研究施設
pp.486-487
発行日 1999年5月15日
Published Date 1999/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904062
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骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome;MDS)は,造血幹細胞に源を発するクローン性疾患であり,このMDSクローンは無効造血を呈するために血球減少症をきたす.FAB分類ではMDSは5型に分類されるが,いずれの病型においても形態学的異形成(dysplastic change)が共通に認められMDS診断の大きな根拠となる.
広く鉄芽球性貧血として知られている環状鉄芽球を認める不応性貧血(refractory anemia withringed sideroblast;RARS)は,末梢血液像おいて小球性低色素性の赤血球と正球性の赤血球の混在したdimorphismを認めることが診断の契機となることがある(図1).骨髄像は赤芽球過形成のことが多く図2に示すように赤芽球の原形質には空胞を認めるものがある.また中央部には偽ペルゲル核異常を示す好中球を認める.鉄染色像では赤芽球の核周囲に青く染色された鉄顆粒を環状に認める(図3).RARSではこの環状鉄芽球を15%以上有するとされている.
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