Japanese
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TOPICS 癌・腫瘍学
肺腺癌の初期からstratifinは腫瘍性タンパク質のユビキチン化による分解を抑制し,悪性化に関与する
Stratifin inhibits ubiquitination of oncoproteins and promotes malignant progression of lung adenocarcinoma from its early stage
野口 雅之
1
,
柴 綾
1
Masayuki NOGUCHI
1
,
Aya SHIBA
1
1筑波大学医学医療系診断病理学研究室
pp.1064-1065
発行日 2021年6月19日
Published Date 2021/6/19
DOI https://doi.org/10.32118/ayu277121064
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肺腺癌におけるstratifin(SFN)発現
日本における癌死亡者数は男性では肺癌が第1位であり,女性でも大腸癌に次いで第2位を占める.肺癌のなかでも肺腺癌は最も頻度の高い組織亜型でその頻度は上昇傾向にある.日本における肺癌,とくに肺腺癌の半数は上皮成長因子受容体(epidermal growth factor receptor:EGFR)遺伝子の変異が認められるという特徴があり,その他の遺伝子異常も多数認められる.遺伝子変異の種類が多いことは分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬など,多数の治療選択肢が存在する基盤になっている.このように多くの遺伝子変異が報告されている肺腺癌もそのきわめて初期の悪性化に関与する異常はあまりよくわかっていない.筆者らのグループは,きわめて初期の肺腺癌である上皮内腺癌(非浸潤癌)と初期浸潤性腺癌との間での発現遺伝子を網羅的に比較解析することで,いくつかの肺腺癌の初期悪性化に関わる遺伝子異常を発見した1-4).
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