連載 この病気,何でしょう? 知っておくべき感染症・Vol.10
広東住血線虫症(髄液検査で好酸球増多が?)
戸髙 貴文
1
,
大城 雄亮
1
,
新里 敬
1
Takafumi TODAKA
1
,
Yusuke OSHIRO
1
,
Takashi SHINZATO
1
1中頭病院感染症内科・総合内科
キーワード:
広東住血線虫
,
好酸球性髄膜炎
,
好酸球増多症
,
アフリカマイマイ
Keyword:
広東住血線虫
,
好酸球性髄膜炎
,
好酸球増多症
,
アフリカマイマイ
pp.1066-1073
発行日 2021年6月19日
Published Date 2021/6/19
DOI https://doi.org/10.32118/ayu277121066
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Summary
広東住血線虫は,人畜共通感染を起こす寄生虫である.感染力を有する第3期幼虫に感染したアフリカマイマイなどの中間宿主や待機宿主,幼虫の混入した生野菜を摂取することで,ヒトへの感染が成立する.腸管から吸収された幼虫が血行的に髄腔内に到達し,好酸球性髄膜炎を発症する.日本では,現在まで75例の報告があり,うち49例が沖縄で発生している.臨床症状として頭痛はほぼ必発で,項部硬直,知覚異常,嘔吐などを認めるが,発熱はないことがある.検体から虫体が検出されることは重症例でもまれで,血清や髄液を用いた免疫学的検査が主流となっている.好酸球増多や好酸球性髄膜炎は広東住血線虫症に特徴的で,診断のきっかけになる重要な所見である.原因不明の好酸球増多,好酸球性髄膜炎が判明した場合は,広東住血線虫症を鑑別にあげることが重要である.
Copyright © 2021 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.