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第5土曜特集 難治性免疫疾患――病態解明と新規治療戦略
免疫疾患の病態へのアプローチ
腸内細菌と腸管免疫系,自己免疫疾患
Gut microbiota, intestinal immune system, and autoimmune diseases
大野 博司
1
Hiroshi OHNO
1
1理化学研究所生命医科学研究センター粘膜システム研究チーム
キーワード:
腸内細菌叢
,
腸管関連リンパ組織(GALT)
,
M細胞
,
自己免疫疾患
,
食物アレルギー
Keyword:
腸内細菌叢
,
腸管関連リンパ組織(GALT)
,
M細胞
,
自己免疫疾患
,
食物アレルギー
pp.654-
発行日 2021年5月29日
Published Date 2021/5/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27709654
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ヒトを含め動物の腸管内には膨大な数の常在細菌群が棲息している.われわれ宿主はこの “腸内細菌叢” を手放しで受け入れているわけではなく,腸管は最大の末梢リンパ組織として多数の免疫細胞を擁し,腸内細菌を抑え込もうとしている.一方,腸内細菌叢は宿主の生理・病理に多大な影響を及ぼしていることが最近の研究から明らかとなってきた.宿主の免疫系は腸内細菌叢との相互作用により発達する.また,種々の疾患の病態における腸内細菌叢の正常範囲からの逸脱(dysbiosis)が近年の研究から示唆されており,自己免疫疾患もそのひとつである.これらの疾患の発症とdysbiosisとの因果関係についてはまだ不明な点も多いが,疾患モデルマウスを用いた研究などから,腸内細菌やその代謝産物が疾患の発症要因となったり,また発症の抑制や病態の改善につながる例も示されるなど,疾患の発症や増悪因子としての腸内細菌叢の関与が明らかにされつつある.
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