特集 今この研究が面白い!
第10章 腎臓
[腎臓老化]腎臓老化制御調節経路の研究
稲城 玲子
1
1東京大学大学院 医学系研究科CKD病態生理学講座
キーワード:
慢性腎臓病(CKD)
,
慢性炎症
,
エピジェネティクス
,
オルガネラストレス
Keyword:
慢性腎臓病(CKD)
,
慢性炎症
,
エピジェネティクス
,
オルガネラストレス
pp.779-783
発行日 2024年9月1日
Published Date 2024/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika134_779
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Summary
・腎臓老化は加齢に伴い糸球体機能が低下し,それによる尿毒素・老廃物の蓄積,尿細管間質障害(慢性炎症,線維化),ひいては臓器連関の破綻による寿命の低下につながる.
・近年,細胞老化の分子特性が詳細に解析され,腎臓老化に密接に連動する細胞群(修復不全腎臓細胞,腎老化細胞,免疫老化細胞)や老化促進要因(代謝異常,オルガネラストレス,炎症系サイトカイン)がわかってきた.
・老化や疾患による腎臓細胞の再生・修復機能の低下は,修復不良細胞形成,あるいは細胞老化(cellular senescence)を加速させ,腎臓老化を促進する.
・将来的に抗腎臓老化薬が臨床応用可能となれば,腎臓老化や病的老化を呈する腎臓病の発症・進展を抑制でき,健康寿命の延長にもつながることが期待される.
© Nankodo Co., Ltd., 2024