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第1土曜特集 脳・神経系の感染症――診断と治療の最前線
脳・神経系の細菌感染症ほか
細菌性髄膜炎
Bacterial meningitis
亀井 聡
1
Satoshi KAMEI
1
1上尾中央総合病院脳神経内科神経感染症センター
キーワード:
細菌性髄膜炎(BM)
,
髄膜炎菌感染症
,
補体阻害薬
Keyword:
細菌性髄膜炎(BM)
,
髄膜炎菌感染症
,
補体阻害薬
pp.94-101
発行日 2021年4月3日
Published Date 2021/4/3
DOI https://doi.org/10.32118/ayu2770194
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細菌性髄膜炎(BM)は,抗菌薬の初期選択と発症から初期治療開始までの時間が患者の転帰に大きく影響するため,緊急対応を要する疾患である.本症の治療は,その緊急性と病態を理解して臨む必要がある.治療は,その地域における年齢階層別主要起炎菌の分布,耐性菌の頻度および宿主のリスクを考慮し,抗菌薬選択を行う.日本の現状を踏まえ,『細菌性髄膜炎診療ガイドライン2014』が公表されている.一方,本症の最近の動向として,補体阻害薬(エクリズマブ)が血液疾患や自己免疫性神経疾患などを対象に認可されたが,補体活性の阻害により髄膜炎を含む侵襲性髄膜炎菌感染の発症リスクを増加することが知られている.本薬は終末補体複合体C5b-9産生を抑制する.C5b-9はmembrane attack complex(MAC)を形成し病原菌を溶解させる.したがって,C5b-9の産生抑制により,このMACが形成されず髄膜炎菌を含むナイセリア属の感染リスクが高まる.髄膜炎を含む侵襲性髄膜炎菌感染症が疑われた場合には,ただちに適切な抗菌薬を投与する.
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