今月の主題 抗生物質の使い方
内科的感染症における抗生物質の使い方
細菌性髄膜炎
小林 芳夫
1
1慶応義塾大学医学部・中央臨床検査部
pp.2450-2451
発行日 1988年10月10日
Published Date 1988/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222146
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細菌性髄膜炎の治療の主役は,いうまでもなく抗生剤療法である.したがって,起因菌により選択すべき抗生剤は異なる.臓器感染症においては,投与抗生剤の臓器移行性が問題となる.とくに髄膜炎においては,選択抗生剤の髄液への移行が良好であることが絶対的条件となる.一般的にいって,β-lactam系抗生剤のなかではPenicillin系抗生剤が髄液への移行が良好である.Cephem系抗生剤の多くは髄液への移行が良好とはいえないが,最近では移行が良好な薬剤も開発され,治療薬剤として期待される.アミノ配糖体剤の髄液への移行は不良である.このほか,Chloramphenicol(CP)が髄液への移行が良好である薬剤であることを忘れてはならない.
起因菌はさまざまであるが,内科領域での起因菌は限られ,細菌性髄膜炎それ自体が本邦ではとくに多い疾患とはいえない.主な起因菌を取り上げ,菌種別にその抗生剤療法にふれてみる.
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