増刊号 Common Disease 200の治療戦略
感染症
細菌性髄膜炎
星野 晴彦
1
1東京都済生会中央病院神経内科
pp.529-531
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904191
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疾患概念と病態
細菌性髄膜炎とは,くも膜,軟膜,くも膜下腔に細菌による感染性炎症をきたした状態を指す.細菌が脳室およびくも膜下腔に至る過程としては,敗血症,心内膜炎などの感染に伴う血行性の経路,頭蓋底・脊椎の感染,副鼻腔炎,耳炎,脳膿瘍などから直接感染が波及する経路,頭蓋底や鼻腔,乳突洞の骨折により直接外部から入り込む経路が考えられる.
原因菌は表1に示すように年齢により特徴があるが,インフルエンザ桿菌,髄膜炎菌,肺炎球菌が3大起因菌であり,全症例の70%は5歳以下の小児である1).しかし,マサチューセッツ総合病院のような高度医療機関においては,16歳以上の細菌性髄膜炎の40%が院内感染であり,その起因菌としてはインフルエンザ桿菌を除いたグラム陰性桿菌が38%を占める2)と報告されている.院内発症であるのか,脳外科的な術後・頭部外傷の有無,免疫機能の状態などは起因菌を予測するにあたり重要な因子となる.
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