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特集 ケトン体による生体制御
ケトン体による心保護作用
Cardioprotective effects of ketone body
長尾 学
1
,
杜 隆嗣
1
,
平田 健一
2
Manabu NAGAO
1
,
Ryuji TOH
1
,
Ken-ichi HIRATA
2
1神戸大学大学院医学研究科立証検査医学分野
2同循環器内科学分野
キーワード:
3-ヒドロキシ酪酸
,
SGLT2阻害薬
,
心筋代謝リモデリング
Keyword:
3-ヒドロキシ酪酸
,
SGLT2阻害薬
,
心筋代謝リモデリング
pp.1128-1133
発行日 2021年3月20日
Published Date 2021/3/20
DOI https://doi.org/10.32118/ayu276121128
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2015年に発表された大規模臨床試験を皮切りに,ナトリウム/グルコース共輸送体2(SGLT2)阻害薬は糖尿病患者の心血管イベントを著明に低下させることが報告された.糖尿病を有さない心不全患者においても同様の結果が得られ,その作用メカニズムのひとつとして,SGLT2阻害薬による血中ケトン体濃度上昇との関連が示唆されている.健常な心筋細胞はATP産生のために主に脂肪酸や糖を利用しているが,病的心筋では代謝リモデリングをきたし,ケトン体利用が亢進していることが明らかとなった.また,ケトン体のひとつである3-ヒドロキシ酪酸はシグナル分子としてレセプターを介した交感神経活性の抑制や抗動脈硬化作用,エピジェネテッィクな遺伝子発現制御による抗酸化作用などを発揮することも報告されている.本稿では,ケトン体の持つ多彩な分子機序による心保護作用について,今後の心不全治療への応用の可能性も含め,最新の知見を概説する.
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