特集 —どうせやせない!? やせなきゃいけない??苦手克服!—「肥満」との向き合い方講座
【総論】「健康問題」としての肥満
❹「内分泌器官」としての脂肪細胞—肥満に関する基礎研究最前線
山口 哲志
1
,
和田 淳
1
1岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 腎・免疫・内分泌代謝内科学
キーワード:
脂肪細胞
,
アディポカイン
,
レプチン
,
アディポネクチン
,
エクソソーム
Keyword:
脂肪細胞
,
アディポカイン
,
レプチン
,
アディポネクチン
,
エクソソーム
pp.814-819
発行日 2022年7月15日
Published Date 2022/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429203803
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脂肪組織は、脂肪滴にエネルギーを貯蔵する「白色脂肪組織(white adipose tissue:WAT)」と、ミトコンドリアが豊富で熱産生能をもつ「褐色脂肪組織(brown adipose tissue:BAT)」に大別される。近年、白色脂肪組織内に寒冷刺激によりUCP1(uncoupling protein 1)を発現し熱産生能を有する「ベージュ脂肪細胞」が誘導されることが注目されている。ベージュ脂肪細胞の熱産生を制御することは「糖尿病」の病態を改善する可能性があり、治療ターゲットとして活発に研究されている。
また、脂肪組織はさまざまな生理活性物質を産生し、オートクライン、パラクライン、さらに循環血流を介して、ホルモンとして他の組織の細胞へとシグナルを伝達する。このような生理活性物質は、「アディポカイン」と総称される。本稿では、代表的なアディポカインとして、「レプチン」「アディポネクチン」「バスピン」について概説する。加えて脂肪組織からは、細胞膜と同じ脂質二重膜で形成される大きさ40〜160nmの細胞外小胞である「エクソソーム」も分泌される。エクソソームには蛋白質・脂質・核酸が含まれており、細胞間コミュニケーションを介して「糖尿病」や「肥満」の病態形成に重要であると考えられている。このエクソソームについても、最近の知見を中心に概説する。
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