Japanese
English
特集 精神疾患への栄養学的アプローチ
ケトン食の精神疾患への応用の可能性
Ketogenic Diet and its Potential Application to Mental Disease
岩田 正明
1
Masaaki Iwata
1
1鳥取大学医学部脳神経医科学講座精神行動医学分野
1Division of Neuropsychiatry, Faculty of Medicine, Tottori University, Tottori, Japan
キーワード:
ケトン食
,
ketogenic diet
,
てんかん
,
epilepsy
,
自閉スペクトラム症
,
autism spectrum disorder
,
うつ病
,
depression
Keyword:
ケトン食
,
ketogenic diet
,
てんかん
,
epilepsy
,
自閉スペクトラム症
,
autism spectrum disorder
,
うつ病
,
depression
pp.302-309
発行日 2024年3月15日
Published Date 2024/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405207217
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抄録
ケトン食とは,三大栄養素のうち炭水化物を制限して脂質を増やすように構成比を調整し,脂肪酸の代謝を促進して血液中のケトン体を増やすことを目的とした食事である。断食によっててんかん発作が抑制されることが古くより知られており,絶食時には血液中のケトン体濃度が上昇することから,ケトン体はてんかん発作の抑止に有用なのではないかと考えられるようになった。実際,ケトン食は小児を中心とした難治性てんかんに高い効果をもつことが示されているほか,最近ではアルツハイマー型認知症や自閉スペクトラム症への有効性を示唆する研究結果が蓄積されてきている。また,ケトン体のうつ病に対する治療効果も基礎研究で明らかになった。なぜケトン食がこれらの精神疾患に効果を示すのかは十分に解明されていないものの,さまざまな仮説が提唱されている。本稿では,ケトン食の精神疾患への応用可能性について,現時点で知られる作用メカニズムも含めて概説する。
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