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特集 炎症性腸疾患――診療と研究の最新情報
腸内細菌と粘膜免疫から見た炎症性腸疾患の病態
Association of gut microbiome with immune system in the pathogenesis of IBD
安藤 朗
1
Akira ANDOH
1
1滋賀医科大学医学部消化器内科
キーワード:
腸内細菌
,
Th17
,
制御性T細胞(Treg)
Keyword:
腸内細菌
,
Th17
,
制御性T細胞(Treg)
pp.1037-1041
発行日 2021年3月13日
Published Date 2021/3/13
DOI https://doi.org/10.32118/ayu276111037
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炎症性腸疾患(IBD)の病態に,腸内細菌や食事抗原を標的とした過剰な免疫応答が重要な役割を担っている.最近の加速度的な腸内細菌の解析法の進歩により,IBDにおける腸内細菌叢の構成の変化(dysbiosis)の特徴もほぼ明らかにされつつある.Dysbiosisはクローン病(CD)で顕著に認められ,その変化は,細菌叢多様性の低下,Clostridiumの減少(とくに酪酸高産生菌の減少),Escherichia coli(E. coli)に代表されるProteobacteriaの増加などに特徴づけられる.CDでは,抗炎症作用に働くFaecalibacterium prausnitziiの減少や炎症を誘導・増強するRumminococcus gnavusの増加などが多くの報告から明らかにされている.また,IBDの病態形成において中心的役割を果たしている制御性T細胞(Treg)やTh1,Th17細胞の誘導における腸内細菌の役割も明らかになりつつある.本稿では,腸内細菌の基本知識を整理し,IBDでは腸内細菌叢にどのような変化が生じ,その変化と免疫応答がどのように関連しているかについて解説した.
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