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第1土曜特集 1細胞解析――技術と応用
応用
発生・再生研究における1細胞遺伝子発現解析の現状
Application of single cell transcriptomics in developmental biology and regenerative medicine
渡辺 亮
1
,
越前 佳奈恵
1
,
奥村 龍哉
1
,
松島 早希
1
Akira WATANABE
1
,
Kanae ECHIZEN
1
,
Tatsuya OKUMURA
1
,
Saki MATSUSHIMA
1
1京都大学大学院医学研究科
キーワード:
再生医療
,
多能性幹細胞(PSCs)
,
ES細胞
,
iPS細胞
Keyword:
再生医療
,
多能性幹細胞(PSCs)
,
ES細胞
,
iPS細胞
pp.1003-1009
発行日 2021年3月6日
Published Date 2021/3/6
DOI https://doi.org/10.32118/ayu276101003
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われわれの体は1個の受精卵から発生し,数百種類以上の細胞へと分化する.自律的で多岐多様にわたる細胞分化はエピジェネティック制御により精密に行われている.この細胞運命の決定機構は発生期における系列追跡(lineage tracing)などで研究されてきたが,培養が可能な多能性幹細胞(PSCs)の登場によって,より高速かつ詳細に調べることが可能となった.PSCsからオルガノイドを作製する技術と1細胞遺伝子発現解析を組み合わせた発生学研究がさかんに行われている.この手法では,臓器の発生過程における遺伝子発現の変動を捉えるほか,細胞間の相互作用の解析も可能にしている.また,再生医療をはじめとする細胞治療において,1細胞レベルで細胞の状態を評価する試みも行われた.このように,1細胞遺伝子発現解析は,細胞分化の階層性と多様性を明らかにすることで,従来の手法とは異なった視点で発生過程の詳細にせまることが可能な技術として注目されている.
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