特集 動く細胞・群れる細胞:発生・免疫・がんにおける「個」から「集団」レベルの細胞動態を追う
【第3部】ふぞろいさと秩序 側板中胚葉の器官形成と上皮-間充織転換
吉野 剛史
1
,
高橋 淑子
1京都大学 大学院理学研究科生物科学専攻動物学教室
キーワード:
Fibronectins
,
外胚葉
,
上皮細胞
,
器官形成
,
中胚葉
,
中皮腫
,
内胚葉
,
肺
,
卵巣腫瘍
,
肢芽
,
上皮間葉転換
Keyword:
Ectoderm
,
Endoderm
,
Epithelial Cells
,
Fibronectins
,
Mesoderm
,
Mesothelioma
,
Lung
,
Ovarian Neoplasms
,
Limb Buds
,
Organogenesis
,
Epithelial-Mesenchymal Transition
pp.633-638
発行日 2014年5月22日
Published Date 2014/5/22
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手や足そして肺や生殖巣に至るまで,多くの器官形成にとって側板中胚葉はきわめて重要な役割を担う.個体発生の初期段階で不定形の細胞集団として出現した側板中胚葉は,細胞の上皮化と脱上皮化(間充織化)を繰り返しながら,様々な組織を作り上げる.本稿では,側板中胚葉の形態形成に見られる上皮- 間充織転換に焦点をあて,それらの時・空間的な制御の仕組みを概説する.側板中胚葉由来の組織は,成体内にできる腫瘍やがん転移の舞台にもなる(卵巣腫瘍や中皮腫など).正常な発生過程における側板中胚葉の形成原理の理解をもとに,その破綻としてのがん化機構についても考察したい.
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