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第5土曜特集 糖尿病治療・研究の最前線2021
合併症
糖尿病と認知症
Diabetes and dementia
鈴木 亮
1
Ryo SUZUKI
1
1東京医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科学分野
キーワード:
バイオマーカー
,
アミリン
,
REWIND試験
,
経鼻インスリン
,
修正可能な危険因子
Keyword:
バイオマーカー
,
アミリン
,
REWIND試験
,
経鼻インスリン
,
修正可能な危険因子
pp.494-498
発行日 2021年1月30日
Published Date 2021/1/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27605494
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糖尿病における脳病変を反映するバイオマーカーは,①認知症の病型や病因の指標,②脳実質損傷の指標,③脳血流および代謝関連の指標,に大きく三分される.糖尿病患者における認知症のetiologyは一様でなく,認知症病態形成への糖代謝の関与も病変の種類によって異なる可能性がある.2型糖尿病と認知症の発症増悪機序をつなぐ候補分子として,アミリンが注目されている.アミリンとアミロイドβ(Aβ)が形成するアミロイドフィブリルは立体構造が類似し,脳と膵島で互いの凝集を促進している可能性がある.GLP-1受容体作動薬(デュラグルチド)をプラセボと比較したREWIND試験では,認知機能のベースラインの得点が低かった群において,有意に認知機能の実質的低下が少なかった.一方,DPP-4阻害薬(リナグリプチン)をスルホニル尿素(SU)薬と比較したCAROLINA試験では,認知機能のアウトカムに差を認めなかった.低血糖に対する脆弱性の高い患者群で治療薬の影響を評価するためには,リアルワールドのデータ検証が重要となる.
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