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第5土曜特集 超高齢社会を支える医学・医療の提案
認知症
認知症のバイオマーカー
-――アルツハイマー病の血液バイオマーカーを中心に
Biomarkers for dementia
――Focusing on blood-based biomarkers for Alzheimer’s disease
中村 昭範
1
Akinori NAKAMURA
1
1国立研究開発法人国立長寿医療研究センター バイオマーカー開発研究部
キーワード:
認知症
,
アルツハイマー病(AD)
,
ATN
,
バイオマーカー
,
血液検査
Keyword:
認知症
,
アルツハイマー病(AD)
,
ATN
,
バイオマーカー
,
血液検査
pp.390-395
発行日 2021年10月30日
Published Date 2021/10/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27905390
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認知症の臨床診断をなるべく正確に行うためには,背景の病理・病態を反映するバイオマーカーが必要である.アルツハイマー病(AD)においては,PETや髄液検査によりアミロイドβ(Aβ)蓄積,タウ蓄積,神経変性といった病理学的変化それぞれに対応した “ATN” バイオマーカーが利用可能であるが,コストや侵襲性の面で問題がある.そこで,低侵襲で大規模集団にも適用可能な血液バイオマーカーの開発が求められている.最近,筆者らは,高精度に脳内Aβ病理の有無を推定できる血液Aβバイオマーカーの開発に成功した.これは,免疫沈降と質量分析を組み合わせることにより,PETで判定した脳内Aβ病理の有無を約90%の精度で推定できるものである.また,血漿中のリン酸化タウやニューロフィラメントL鎖タンパク(NFL)の測定などにより,タウ病理や神経変性を反映する血液バイオマーカーの開発も急速に進展しており,血液検査だけで “ATN” 分類を実現できる可能性も見えてきている.
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