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特集 法医学の新たな展開
法医学における薬物検査のあり方
-――裁判化学講座の復興をめざして
Revival of forensic toxicology in Japan
岩瀬 博太郎
1
,
小椋 康光
1
,
山岸 由和
1
Hirotaro IWASE
1
,
Yasumitsu OGRA
1
,
Yoshikazu YAMAGISHI
1
1千葉大学大学院医学研究院法医学教室
キーワード:
法中毒学
,
裁判化学
,
薬物検査
,
質量分析
Keyword:
法中毒学
,
裁判化学
,
薬物検査
,
質量分析
pp.215-220
発行日 2021年1月16日
Published Date 2021/1/16
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27603215
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日本においては,かつて薬学科あるいは薬学部に裁判化学講座があり,法医解剖事例の薬物検査を実施していた時期があったが,現在は法医学教室と同様に衰退し,法医学における薬物検査の実施状況は諸外国に比べ手薄となっている.法医解剖において薬物検査は死因判定上重要な位置を占め,また傷害や殺人未遂などの事件では,生体の薬物検査も必要とされるので,現状を放置することは問題であろう.一方で,薬物検査を警察の科学捜査研究所に依存してしまっては,医学診断上の妥当性や客観性を維持することは困難であると考えられる.今後は,薬学部出身者などの薬物分析の専門家が捜査の都合などに左右されず,死因や傷害度を判定する検案医,法医専門医などと密接に連携して薬物検査を実施できる体制を整備したうえで,検出法や致死濃度が未知である新規薬物による死亡や傷害事例に対応するために研究を行ったり,後継者を育成するために大学薬学部と連携をはかるべきである.
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