特集 消化管感染症のすべて
消化管感染症の病原体検索の基礎知識 遺伝子検査も含めて
吉川 晃司
1
1東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 感染制御部
キーワード:
感染
,
下痢
,
検体取り扱い法
,
抗原
,
細菌感染症
,
質量分析
,
腸疾患
,
糞便
,
検便
,
細菌培養
,
分子診断技法
Keyword:
Antigens
,
Bacterial Infections
,
Infections
,
Mass Spectrometry
,
Feces
,
Diarrhea
,
Intestinal Diseases
,
Specimen Handling
,
Molecular Diagnostic Techniques
pp.10-17
発行日 2019年10月20日
Published Date 2019/10/20
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2020053989
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感染症を適切に治療するには正しい病原体診断が必要である。病原体を検索する際は、臨床的状況から病原体を推定し、適正な検査法を選択して検体を採取し検査に提出する。消化管感染症の原因となる病原体は多岐にわたり、特に腸管感染症では感染症の発生場所、下痢の持続期間、潜伏期間、臨床症状、背景因子などの情報から原因となる病原体を推定する。おもに便培養が行われるが、患者の病態や背景因子から抗酸菌、ウイルス、寄生虫が疑われる場合は、病原体に応じた検査法を選択する。糞便検体は注意事項に留意し、抗菌薬投与開始前に採取する。ウイルス性胃腸炎の病原体、Clostridioides difficileなど一部の病原体に限られるが、迅速かつ高感度に原因病原体を把握できる迅速抗原検出検査や遺伝子検査が開発され、消化管感染症領域でも日常診療で使用されている。病原体に由来した蛋白質成分の分子量情報のパターンから分離菌株を同定する質量分析検査も一部の医療機関で臨床応用されている。
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