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特集 法医学の新たな展開
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は何を問うたか
-――感染症と法医学
Challenges imposed on Japanese forensic medicine by COVID-19
山口 るつ子
1
Rutsuko YAMAGUCHI
1
1東京大学大学院医学系研究科社会医学専攻法医学分野
キーワード:
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
,
死因究明制度
,
感染症疫学
,
剖検事例レジストリー
,
公衆衛生学
Keyword:
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
,
死因究明制度
,
感染症疫学
,
剖検事例レジストリー
,
公衆衛生学
pp.221-225
発行日 2021年1月16日
Published Date 2021/1/16
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27603221
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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)をはじめとする新興感染症対策は公衆衛生の主たる目的のひとつであり,そのなかで原因不明の死亡事例の死因究明を扱う法医学分野の担うべき役割は重要である.世界各国から,びまん性肺胞傷害,血栓塞栓症,血管内皮細胞傷害などの致死的病態,死亡者の疫学的特徴など,病態解明や治療法開発につながりうる剖検事例報告が相次いでおり,ドイツなどでは制度上,法医学施設が剖検施行の中心として機能している.一方,公衆衛生に資する目的の解剖を十全に行える状況にないわが国の死因究明制度上の問題も今回顕在化した.喫緊の施策として,COVID-19剖検事例レジストリーの構築による情報の集約,保健行政・疫学者・臨床家などとの協働によるサーベイランスシステムといった制度設計などがあげられるが,長期的には人材の育成や法医学施設の集約化による設備,人的の充実などの根本的施策が必要である.
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