特集 遺伝性疾患と遺伝カウンセリング
特別企画
遺伝学的検査の実施機関
久保 亮治
1
1神戸大学大学院医学研究科内科系講座皮膚科学分野
pp.189-191
発行日 2022年3月1日
Published Date 2022/3/1
DOI https://doi.org/10.24733/pd.0000002852
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遺伝性疾患の原因となる,病原性をもった遺伝学的な変化は,さまざまな仕組みによって生じうる.皮膚科領域には多種多様な遺伝性疾患があり,保険診療として外注検査を行うことが可能な,「診療の用に供する場合に求められる精度管理が制度的に行われている遺伝学的検査」は,ごく一部にとどまる.大部分の疾患においては,研究に協力するという形で,各大学において研究として解析され,その結果は「診療の用に供する場合に求められる精度管理が制度的に行われているものではない」研究の結果として,患者さんに結果説明がなされている.その解析の深さは各施設によっても,それぞれの疾患によってもさまざまである.たとえば,Sangerシーケンシングやエクソームシーケンシングで調べた場合,染色体の微小欠失により原因遺伝子が欠損しているような変化は捕まえることができない.すなわち,原因となる遺伝学的変化がみつからなかった場合でも,それはあくまで,用いた方法によってみつかるような変化はみつからなかった,という意味であることを理解しておく必要がある.
実地診療において遺伝性疾患を疑ったとき,いったいどこに,誰に,検査を依頼すればよいのか戸惑う場面は少なくない.本稿では,そのようなときに参考になる情報をまとめておきたい.
(「皮膚科領域における遺伝学的検査」より)
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