連載 衛生行政キーワード・22
厚生労働省の所管する実施機関における動物実験等の実施に関する基本指針について
吉川 展代
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1厚生労働省大臣官房厚生科学課
pp.646-647
発行日 2006年8月1日
Published Date 2006/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100630
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基本指針策定の背景および経緯
実験動物に関して,「動物の愛護及び管理に関する法律」(昭和48年法律第105号,以下「動物愛護管理法」という)および「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準」(平成18年環境省告示第88号)において,動物愛護および管理の観点に基づく実験動物の取り扱い等が規定されている.一方,動物実験を適正に行うという観点から,日本学術会議が「動物実験ガイドラインの策定について」(昭和55年)を勧告し,文部省(当時)が所管の機関に対して「大学等における動物実験について」(昭和62年文部省学術国際局長通知)を通知している.これらの法令等を踏まえ,動物実験を実施する機関等(以下「実施機関」という)は,各実施機関において規程や動物実験委員会等の整備を行うなど,自主管理に基づく適正な動物実験の実施を図ってきた.自主管理方式は自由闊達な科学研究を促進する一方で,外部から動物実験の実態が見えにくく,動物実験が適切に行われていないのではないかとの疑念を抱かれることもあった.
このようなわが国の動物実験の状況等を踏まえ,日本学術会議において,平成16年に「動物実験に対する社会的理解を促進するために(提言)」が報告され,この中で,①国内で統一された動物実験ガイドラインの制定,②自主管理の客観性と透明性の確保のための第三者的立場による評価の必要性が提言されている.
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