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特集 医療現場における皮膚障害
Topics
抗癌薬の点滴漏れに対する最新の対策
Trends of management for extravasation of cytotoxic anticancer agents
山﨑 直也
1
Naoya Yamazaki
1
1国立がん研究センター中央病院皮膚腫瘍科
キーワード:
壊死起因性抗癌薬
,
炎症性抗癌薬
,
非壊死性抗癌薬
,
血管外漏出
,
デクスラゾキサン
Keyword:
壊死起因性抗癌薬
,
炎症性抗癌薬
,
非壊死性抗癌薬
,
血管外漏出
,
デクスラゾキサン
pp.186-190
発行日 2020年3月1日
Published Date 2020/3/1
DOI https://doi.org/10.24733/pd.0000001958
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癌薬物療法は,手術,放射線治療と並ぶ癌治療の柱の1つであることはいうまでもない.その多くは注射薬であり,静脈注射した薬剤が静脈確保のために使われた注射針や静脈留置カテーテルの先端の不安定性によって,血管外の周辺組織に漏出(extravasation:EV)したときに,表皮,真皮,皮下組織や場合によっては筋肉にまで炎症や壊死をもたらすことがある.抗癌薬の場合,血管外漏出の直後はほかの一般薬剤と同様に漏出した注射薬の量が少量であれば無症状あるいは軽い発赤・腫脹がみられる程度であり,漏出量に応じて強い腫脹,発赤がみられ,しばしば灼熱感や疼痛を伴うとともに,数時間から数日の時間の経過とともに症状が増悪し,水疱→びらん→潰瘍→壊死形成へと移行していくことがあるので注意が必要である.さらに重症化すると瘢痕が残ったり,神経障害や運動制限をきたして外科的処置,すなわち手術が必要になることもある(図1~4).
組織障害の強さは抗癌薬の種類によって異なるが,組織障害をおこしやすい抗癌薬であっても,漏出直後は局所の軽度の違和感や軽い発赤,浮腫がみられる程度であることが多い.このため患者自身も漏出に気づかないまま重症化することがある.注射部位を注意深く観察し,変化にいち早く気づくことが重要である.
(「I.抗癌薬の血管外漏出」より)
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