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変性結合織成分に対する肉芽腫反応
伊崎 誠一
1
1埼玉医科大学総合医療センター 皮膚科
キーワード:
鑑別診断
,
生検
,
肉芽腫-巨細胞
,
リポイド類壊死症
,
リウマトイド結節
,
肉芽腫-環状
,
サルコイドーシス-皮膚
Keyword:
Biopsy
,
Diagnosis, Differential
,
Granuloma, Giant Cell
,
Necrobiosis Lipoidica
,
Rheumatoid Nodule
,
Granuloma Annulare
pp.126-133
発行日 2017年2月1日
Published Date 2017/2/1
DOI https://doi.org/10.24733/J01268.2017143266
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肉芽腫性炎症は非消化性異物に対する単球・マクロファージ系細胞による慢性炎症性組織反応の1つである.この反応の元になる非消化性異物には,外来性の病原微生物,すなわち真菌,抗酸菌,寄生虫,金属などもあるが,もともとは自己の成分であったものが異物と認識されて反応する場合もある.たとえば,角質囊腫が破壊して周囲に角質を貪食する細胞を中心に肉芽腫反応がみられ,理髪師の指先に毛髪に対する異物反応がみられる.また肉芽腫性口唇炎では長く続くリンパ浮腫の結果生じた変性蛋白質に対する肉芽腫反応が想定されている.真皮結合織を構成する強靱な線維成分は主に膠原線維と弾性線維であるが,これらも長年の光線曝露や糖尿病の微小循環障害の結果,変性し,その結果なんらかの免疫原性を獲得することによって肉芽腫反応を惹起する場合がある.
肉芽腫反応を惹起するかどうかは,異物の種類・性質と生体側の反応性の両者に依存する.すなわち同じように異物が生じても,個体によってはまったく反応を示さないかもしれないが,別の個体ではこれを異物と認識する.好中球やマクロファージなどの食細胞による貪食で非消化性の場合,肉芽腫反応を惹起する可能性がある.また肉芽腫反応を免疫学的に分類すると,免疫が大きく関与する過敏型肉芽腫(アレルギー性肉芽腫)と,これの関与しない非過敏型肉芽腫(非アレルギー性肉芽腫)に分けられる.本稿では,変性結合織成分,とくに変性膠原線維,変性弾性線維に対する肉芽腫反応を取り上げるが,宿主側の要因についての研究は極めて少ないため,この面の記述が不足することをあらかじめお断りせざるを得ない.(「はじめに」より)
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